個人邸／2018

宝塚市に池を囲むように公園が整備され、春には桜の名所になっている土地がある。子育てを卒業された御夫婦が、これからの人生を自分達の趣味を楽しみながら、満喫するための場所として、池に面した土地を取得し、自宅を建設されることになった。オーナーとは会社の設計をさせて頂いたご縁があり、ひとまわり年齢が違うオーナーの夢や理想に応えられるか不安もあったが、自分自身の憧れを重ねながら設計を行った。建物は木造で、対岸の公園からの景観に配慮し、池越しには屋根だけが見えるよう、池に向かって、テラスまで伸びた深い軒をもつ、シンプルな片流れ形状としている。池に面した部分は平屋の勾配天井をもったリビングダイニングとし、その廻りに生活に必要な場をまとめ、棟の高い部分を2階建てにして、バルコニー、陶芸室やミシン室といった、その他の部屋を納めている。生活の中心となるリビングダイニングは、池に面した庭側を天井までのフルオープン出来るサッシュとすることで、テラコッタタイルの床が連続するテラスや庭、池も含めて景色を室内に取り込んだ空間とした。四季折々の風景が望め、生活に潤いを与えてくれている。
幸いにも外壁メーカー「KMEW」の施工事例コンテスト2018で、「近畿エリア賞」に選ばれることになり、オーナーにも非常に喜んで頂けた。オーナーの期待に応えられたと実感した瞬間であった。