【竣工物件紹介】ミウラ化学装置 本社棟

今回のブログは先月竣工した「ミウラ化学装置 本社棟」を紹介したいと思います。
実績紹介にも掲載していますので、ご興味のある方は、こちらも合わせて見て頂けると幸いです。
 
ミウラ化学装置は①プール水処理、②工業用濾過・排水処理、③排ガス処理・脱臭、
④騒音防止・ミスト分離など、「浄化する技術」に特化した企業で、約70年前、
研究者でもあった創業者:三浦 貢氏が戦後復興をなしとげ、高度成長期を迎えようとしていた日本で、
今後は公害対策が社会の責務であると考えられ、興されたそうです。その先見の明に感動して、
結構、この話を周りにもしているのですが、私たちは設計という仕事柄、
さまざまな企業の方とお話しする機会があり、建設に至るまでの色々な思いや裏話しなどを聞き、
毎回、感心したり、驚かされたりしながら、設計のヒントを探しています。
 
今回の計画に際しては、その「浄化する」をキーワードにプロジェクトに取り組むことが、
ふさわしいと考え、実績紹介にも書いたように白い外壁や、エントランスのデザインなど、
各所にそれが表れています。もう一例あげると、旧社屋も掃除が行き届いて、いつも綺麗にされており、
「浄化する」を商いにする会社であるという精神の表れと感じました。
そのため、今回も床や手が触れるものは、濃い色の仕上げ材にして、汚れが目立ちにくいよう配慮しています。
話が外れますが、建物だけでなく、あらゆる表現には、何らかの理由があるので、
想像してみると楽しく、その意図に気付いた時は、何かを発見した喜びがあります。
 

 

工事に際して、エントランスホールのデザインには非常に苦労しました。
何枚もアイディアをイメージにおこしながら、それが企業の顔にふさわしいのか、
印象的であることが求められる一方、企業イメージを考えると派手過ぎてもいけない、
微妙なラインを探りながら、施主と何度もディスカッションを重ね、今のデザインに決定しました。
今まで経験してきたことや、単純な空間については、頭の中で出来上がりが想定出来ているので、
あまり心配もないのですが、いくつかの要素が複合していたり、初めて試すことについては、
今でもドキドキします。
 

 

3Dで検証することで、全くイメージと違うということはありませんが、
旅行先で感動した風景を写真に撮っても、写真では感動が伝わらないのと同じで、
空間の広がりを感じることまでは出来ないため、出来るまでは不安でいっぱいでした。
実際、出来てみると、建物に入る前からガラス越しに見えることにより、
何かあるワクワク感があったり、エントランスに面する周りのガラスにサインが反射して、
面白い見え方が現れたり、予期せぬことも含めて、全体的にちょうどいいバランスに感じられ、
心底、ホッとしました。幸い、お客様にもイメージ以上だと喜んでいただけて、喜びもひとしおでした。